税のミニ通信

Q & A 2012年3月

2012/03/1

 当社は水産加工業を営んでおりますが、昨年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、風評被害を受けました。この度、東京電力に対して営業損害の賠償請求をしましたが、その結果、相当額の賠償金を受け取りました。この賠償金は、課税上どのように取り扱われるのでしょうか。


 ご質問の東京電力原発事故による営業損害に対する賠償金は、課税処理上「益金に算入」することとなります。以下、詳しく説明していきます。


損害賠償金等の課税上の問題は、税法ではその全てについて明文をもって規定しているわけではなく、授受される金員等の実態に応じて、各税法、裁判事例、裁決事例及び国税庁の通達等に照らして判断することとなっています。


 法人税法及び所得税法で定めている取り扱いの概要は次のとおりです。


法人が業務上に生じて受領した場合は、①益金算入、②課税の特例に区分されて取り扱われます。個人が業務上生じて受領した場合は、非課税となりますが、ただし、所得の収入金額に代わる性質を有するものは課税扱いになります。


また、家事上に生じて受領した場合には、非課税となります。


 法人に対する取り扱いについて、もう少し詳しく説明しますと、法人税法には、所得税法のように非課税規定がないことから、したがいまして、法人が受領する損害賠償金等は課税対象となり、原則として、その支払いを受けるべきことが確定した日を含む事業年度の益金に計上することになります。


通常は、損害賠償金の支払者である東京電力との間で合意した日(支払い通知を受けた日)に計上するのがよいと思いますが、特例として、法人が実際に支払いを受けた日を含む事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認めることとされております。


 一方で、損害賠償請求に関しての訴訟・請求手続き等をするために支出した弁護士報酬等の費用は、その支出した日の属する事業年度の損金に算入されることになります。

損害賠償金とは別に、法人の有する資産を国県等により収用等される場合があり、多種多様な補償金等を取得することがあります。移転補償金など補償金の種類ごとに課税上の取扱いがありますので、別途検討しなければなりません。


 消費税法上の取扱いについても説明しておきます。

 消費税法では、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と「外国貨物の輸入」を課税の対象としております。「対価を得て行う」とは、反対給付を伴う場合、すなわち対価性のある給付を行うことを意味することから、単なる贈与や寄付金、補助金、保険金、損害賠償金などは、原則として対価を得て行う取引には当たらないことになりますので、課税の対象とはされず、いわゆる不課税となります。

(東北税理士会 いわき支部 税理士 山﨑政男)