税のミニ通信

決算書は税務申告のためにあらず  2012年5月

2012/05/1


会社の歴史にもう一度光を


法人は、原則として決算日から2ヶ月以内に税務申告を行うことは、会社を経営している方であれば知らない方はいないかと思います。

 ただ、申告間近になって、たまりにたまった資料を夜な夜な整理し、なんとなく決算書を作成。申告が終われば、その申告書はそのまま棚かダンボールの中に無造作に置かれ、金融機関等から提出を求められる以外、目に触れることなく、数年後にはシュレッダー行き。記憶の彼方へと消え去る運命をたどる「会社の歴史」。身に覚えはないでしょうか?

 会社は利益を追求し、その利益を基に新たな設備投資を行い、優秀な人材を揃え、他社にはない次なるサービスを提供し、その利益を最大にする。これが企業のあり方、理想のはず。

 それには、日々の記録が重要なのですが、損益が判明するのが決算の時というのは、この先問題ありといえないだろうか。


 バブル崩壊以降経済は低迷し続け、リーマンショックの影響、そして昨年3月11日の東日本大震災による尋常ではない被害。経済へのダメージは大きく、経済の先行きは不透明。これに追い討ちをかけるかのように、消費税増税、人口減少が待ち構えています。これは、間違いなく消費が今以上に冷え込み、簡単に言えば、今まで10個売れていたものが9個または8個、それ以下になることを意味します。これは企業が淘汰されてくることを如実に表しています。他社と同じことをしていては淘汰される側になることを意味します。その淘汰される側にならないためにも、「会社の歴史」を今一度見直し、日々記録と向き合って、経営というものを真剣に考える時期に来ています。

 


決算書の有効活用


  年一回作成する決算書は企業を写し出す鏡です。企業の問題点は必ず決算書に反映されています。単に決算書をただ眺めていたのでは何も問題点を発見することはできません。

 そこで、5年分(最低でも3年)の決算書を比較検討してみて下さい。さらにグラフ化し、視覚化できれば尚よいかと思います。そのとき特に次の点を考えてみて下さい。


① 売り上げはどのような推移を辿っていますか。そうなった原因は何ですか。


② 営業利益は売り上げに比例していますか。

比例していない場合の原因は何ですか。


③ 販管費で突出して高額な科目はありませんか。それを削れない原因は何ですか。削れる方法はありませんか。


④ 債務償還年数(有利子負債÷償却前営業利益)は10年以内ですか。【10年超は危険信号です】

 ごくごく一般的なことですが、そこから新たな発見、次へのステップが見つかるはずです。


できれば、月ごとの比較をお奨めします。季節変動、外部要因、内部要因をさらに細かく分析することができる上に、次なる一手に早期に着手することができます。

生き残ることの重要性。それは倒産の悲劇を間近に見てきた一人の職業人としての切なる願いです。

節税という話はその後の話ですから。

(税理士 鈴木弘康)