税のミニ通信

退職金の確定申告

2012/07/01

問い:私はサラリーマンで前年の5月に会社を退職し、再就職しませんでしたので前年度の収入は退職金と1月から5月の間の給与収入だけです。退職金を受け取るときに「退職所得の需給に関するも申告書」を会社に提出して所得税と住民税が退職金から源泉徴収されたので税金関係は終了したものと思い確定申告しませんでした。後日、確定申告すると還付される場合があると聞きましたが本当でしょうか。


答え:退職所得の所得税の計算は「退職所得控除額」が多く、かつ控除後の金額の2分の1の額に税率を適用するなど特殊で優遇されていますので大抵の場合は源泉徴収された所得税が還付されることはありません。
しかし、あなたのその年の退職金以外の所得金額が少なく、退職後に支払った国民年金保険料や国民健康保険料、生命・損額保険料控除などの所得控除額が多い場合は、退職金を含めて確定申告すると、退職金から源泉徴収された所得税が還付されることがあります。

[具体例]
勤続年数30年、5月までの給料収入250万円、給与から源泉徴収された所得税5万円、1月から5月の社会保険料は30万円、退職金2,000万円、扶養家族は妻(専業主婦)と高校生の子供2人、再就職していない。

≪退職時点≫
◎退職所得控除額 400,000×20年+700,000×(30-20)年=15,000,000
◎退職所得税額{20,000,000(退職金)-15,000,000(退職所得控除額)}×1/2×5%(税率)=125,000(住民税は省略)

≪確定申告≫
◎年間所得金額 4,070,000 給与所得2,500,000-930,000(給与所得控除額)=1,570,000
 退職所得(20,000,000-15000000)×1/2=2,500,000
◎所得控除金額 2,630,280 人的控除 扶養380,000×2人+配偶者380,000+基礎控除380,000=1,520,000
社会保険料(国民年金)15,020×7ヵ月×2人=210,280
社会保険料(国保) 500,000(市町村によって異なります。)1月から5月の社会保険料300,000
生命・自信保険料控除額 100,000
◎課税所得金額 4,070,000-2,630,280=1,439,720
◎所得税額 1,439,000×5%=71,950
◎還付金 △103,050(所得税額-給与の源泉所得税-退職金の源泉所得税)
(71,950-50,000=△103,050)

 退職金に関する税金は、退職時点で清算終了すると思い込まず、所得控除など多い人は確定申告の提出を検討してみる価値がありと思います。
 ところで、退職所得1/2課税の優遇制度については、金属年数5年以下の法人役員に支給する退職金に限り、平成24年度の税制改正によって、平成25年から廃止されることになりましたので留意してください。

【東北税理士会 いわき支部 税理士 高橋伸司】