税のミニ通信

貸倒損失の処理

2014/07/1

 法人の有する金銭債権について回収不能の状態が発生した場合には、企業会計上、貸倒損失を計上することになります。この貸倒損失の金額は、法人税の所得計算においても損失の額として損金の額に算入されます。

しかし、金銭債権に回収不能の事実が生じたか否かは事実認定の問題であり、貸倒損失の計上の判断は慎重に行う必要があります。


法律上の貸倒れ

 法人の有する金銭債権について次のような事実が発生した場合には、それぞれに掲げる金銭債権の額は法律的に消滅してしまうことから、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入されます(法基通9-6-1)





会社更生法の規定による更生計画許可の決定、民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合に、その決定により切り捨てられることなった部分の金額





会社法の規定による特別清算にかかる協定の許可の決定があった場合に、その決定により切り捨てられることとなった部分の金額





法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる当事者間の協議で、合理的な基準により切り捨てられることとなった部分の金額





債務者の債権超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合に、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額


会計認識上の貸倒れ

 法人の有する金銭債権について、債務者の資産状況、支払能力等からみて、その全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます(法基通9-6-2)

 適用にあたっては慎重に貸倒れの判断をする必要がありますが、主な留意点は次のとおりです。





回収不能が明らかになった事業年度における損金経理が要件





一部の金額の貸倒処理は認められない





債務者の資産状況等の検討が必要





債権者側の事情等も考慮される





担保物処分後でなければ貸倒処理できない


売掛債権の特例

債務者について次のような事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権について備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、その処理が認められます(法基通9-6-3)





継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合で、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき。ただし、その売掛債権について担保物のある場合は適用できません。





同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払いを督促しても弁済がないとき。

なお、この特例は貸付金などは対象となりませんし、①の取引の停止は、継続的な取引を前提としていますので、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対する売掛債権については適用されません。