税のミニ通信

帳簿と証憑書

2014/10/01

1.証憑書とは何ですか

 物証記録についての記帳資料です。外部取引、内部取引に関して作成される取引証拠書類です。内部証拠より外部証拠が証拠能力は高く、文書的証拠より物理的証拠が更に大きな証拠能力を持ちます。


2.証憑書は何故重要ですか

 原始記録の証憑書類は事実認定を行う際に取引の重要な証拠となります。一枚の証憑が証拠となる場合もありますが、複数の原始記録との関連性により大きな証拠力を有しますので、相関関係が重要であることも認識する必要があります。刑事訴訟法の規定では

(証拠裁判主義)第317条 事実の認定は、証拠による。

(自由心証主義)第318条 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。--因みに対応するものとしては一定の証拠があれば必ず事実を認定しなければならない(法定証拠主義)があります。(例えば領収書があれば金銭の授受があったものと見做す。)現行法は採用していません。

(その他の書面の証拠能力)第323条 前3条に掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。


①商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の課程において作成された書面--(企業の内部で作成される会計記録も含まれる。)

②前2号に掲げるものの外特に信用すべき状況の下に作成された書面


3.証憑書の種類

 取引に関して自己の作成したもの(内部証拠書類)のうち今回は棚卸表について述べます。棚卸表 原則として決算終了日現在のもので、社内の者が実地に調査した棚卸原表(原始記録とそれを整理した棚卸表は両方とも必ず保存します。もし棚卸を行わなかった場合や、これ等を紛失し棚卸金額の正確性が立証できない場合は、青色申告の取消事由に該当するので重要な書類です。(法人税法第127条)

事実認定を行う際に考慮するのは5W1Hです。

When(いつ) 決算終了日現在 

Where(どこで) 社内物置、倉庫 

Who(だれが)担当者

What(なにを)商品、材料、仕掛品等 

Why(なぜ)正確な会計報告 

How(どのように)分担、実地検分 

 図1参照 仕入価額等に基づいて評価額が付され、種類別等に整理記入された棚卸表は重要ですが、さらに原票を見れば棚1は甲が担当し横順にAB―EF-IJ,棚2は乙が担当し縦順にCGK-DHLと実地検分したことが、もちろん筆跡が異なっていることもあり5W1Hを強く訴求する証拠能力を持つことになります。実地検分できるのは現場にあるものに限られるので、さらに帳簿棚卸を併用し、積送品の有無を検討することも必要です。

図2参照 記帳は証憑から始まり申告書に至りますが、税務調査は逆の流れとなります。提出された決算書から例えば棚卸回転率等を同業他社と比較して調査の必要ありと判断した場合は、棚卸証憑の提示を求め期末棚卸計上額が正確であるか否かを検討することになります。

 証憑書類たかが一枚の紙片、されど一枚の紙片、おろそかにはできません。勿論証憑は真実のものでなければなりません。不正のものや偽物であっては、全く証拠能力はありません。 


【東北税理士会いわき支部 税理士 磯上 隆】