税のミニ通信

どのような時に重加算税は賦課されるのか

2015/5/1

所得税の確定申告期間が終了し、税務調査が行われる時期になると思われる。そこで今回は、重加算税の賦課という納税者にとって重いペナルティについて取り上げ、重加算税はどのような要件を充足した時に賦課されるかについて考えていくこととする。

 国税通則法第68条第1項は、「第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、(中略)重加算税を課する」と規定している。

この条文から、重加算税が賦課されるのは、次の3要件の全てを満たす場合と考える。


① 納税者が過少申告加算税の課される場合であること。

② 納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい・仮装すること。

③ その隠ぺい・仮装したところに基づいて納税申告書を提出すること。


ここで特に考えてみたいのが②の要件である。この要件は、単なる事実の隠ぺい・仮装ではなく、「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい・仮装」である。所得の計算及び税額の計算の要素は、納税義務者は誰か、課税物件は何か、課税物件は誰に帰属するのか、課税標準は何かということ等が挙げられる。重加算税が賦課されるべき隠ぺい・仮装とは、これらの要素についての隠ぺい・仮装であると言えよう。例えば売上除外、証拠書類の廃棄等、二重帳簿の作成、架空仕入、架空契約書の作成、他人名義の使用等が挙げられるが、このような行為に基づいて、過少申告を行うと重加算税が賦課されるのである。

注意すべき事例として、正確な所得金額を把握し得る会計帳簿を作成していながら、作為的にわずかな所得金額のみを記載した申告書を提出し続けた納税者に、重加算税を賦課した事例(最高裁平成6年11月22日判決)や顧問税理士から申告の必要性の指摘があったにもかかわらず、株式の取引に関する書類を税理士に提出せず、過少申告させた納税者に対して重加算税が賦課された事例(最高裁平成7年4月28日判決)がある。これらの事例では、納税者が「ことさらに過少な申告」をしようとしている「確定的な意図」と、その意図を「外部からもうかがい得る特段の行動」に基づく真実の所得金額の隠ぺいは重加算税賦課の対象となるとの判断が行われている。

 納税者が本来の税負担を免れることを目的とした隠ぺい・仮装行為は、租税法が目的とする租税負担の公平に反する行為であるため、行ってはいけないことは言うまでもないが、重加算税の賦課は納税者にとっては大きなペナルティであるので、その賦課決定に際しては、当初申告との開差額の大小ではなくて、納税者のどのような行為が重加算税の賦課要件に該当するのかの解釈が大切であると考える。

【東北税理士会いわき支部 税理士 吉田利彦】